指を怪我して絆創膏を貼った。ある朝、我が家の雨戸を開ける際に老朽化した木材が少し裂け割れて、小さなトゲのようになったものが右手中指の付け根に刺さった。これを慌てて左手の爪で抜こうとしたが上手くいかず、かえって深く入り込んでしまったので、いったん抜くのを諦めて上から絆創膏を貼り付けた次第である。

貼った絆創膏はキズパワーパッドで、これは日本における湿潤療法型絆創膏の先駆けである。公式サイトによれば、ハイドロコロイド粒子が適度な湿潤環境を維持することで人間の持つ自然治癒力を高め、一般的な絆創膏より早く綺麗に傷が治るらしい。まあ私がこれを貼ったのは、これしか絆創膏の備えが無かったからなのだが。

絆創膏を貼ろうと思った理由は主に2つある。ひとつは傷口の保護（私自身が無理に抜こうとするのを防ぐ意味も含む）。そしてもうひとつは、このまま少し放っておいたら皮膚の新陳代謝でトゲ的木片が浮き出てくるのではないか、という期待の元、時間を稼ぐ為である。不労所得ならぬ不労トゲ抜きを試みたというわけだ。

公式サイトには様々な傷の種類が例示してあり、キズパワーパッドの効能をアピールしているのだが、トゲ刺さりや木片埋没という事例は見当たらない。やはり自然治癒力を高める湿潤療法型絆創膏であっても、トゲや木片には無力なのか。冷静に考えれば当然なのだが、トゲ的木片埋没の当事者としてはつい期待してしまう。

約一週間ほど後にキズパワーパッドを剥がしたところ、やはり残念ながらトゲ的木片はほぼそのままの状態であった。しかし湿潤療法の効果か、トゲの上の皮膚が柔らかくなっている様子だったので、少し無理に付近をえぐり取るようにしてトゲ的木片を除去することには成功した。結果オーライである。