しっかり者を装いきれない天性のうっかり者

私は、うっかり者である。よく忘れ、よく見落とし、よく無くす。それを自覚してからは、そうならないよう対策を一つひとつ講じてきた。おかげで現在では、うっかりから困難な状況に陥ることはかなり減った。そう、かなり減った、のである。つまり、未だに少しは困難な状況に陥る、ということだ。

例えば私は財布を忘れて家を出る、ということをよくやった。ずっと昔であれば、電車の切符を買おうとした時点で気付いただろう。しかし今は交通系ICカード内に残高があれば、財布が無くとも電車へ乗車できてしまう。1時間ほど電車に揺られた後で財布が無いことに気が付くのは、ツラい。

対策は2つ考えられる。一つは財布に交通系ICカードもまとめて収納すること。これならば電車に乗ろうとした時点で気付くので、家へ取りに戻れば良い。しかし私には『忘れる』だけでなく『無くす』という特性もある。外出先で私がこの財布を無くした場合、帰宅が困難になってしまう。それは避けたい。

交通系ICカード入れに少し現金を入れておく、というのがもう一つの対策で、いま私が行っているものだ。これならば財布を忘れたその日くらいなら何とかなるし、財布は持っているが中に現金が入っていない、という別のうっかり事象への保険にもなる。我ながら素晴らしい対策である。

数日前、財布を忘れた。私は落ち着いて、交通系ICカード入れを探った。が、現金が入っていない。さらに以前、ここへ入れておいた現金を使用した後、補充しておくことを忘れていたのだ。結局、私は久しぶりにツラい気分を味わい帰宅した。忘れた時の対策を忘れるとは、我ながら呆れるが、これが私なのだ。

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