羊毛に頼って、私は冬を生きている。昔はコタツに頼って冬を生きていた私だったが、今では家にコタツは無く、代わりに羊毛製品が様々な場所にある。羊毛製品があるから私は昨年までの冬を越せたと思うし、今年の冬も助けられている。これまでありがとう羊毛、今年もよろしく羊毛。
子供の頃、私は羊毛製品があまり好きではなかったように思う。例えばセーター。素肌に触れるとチクチクしたし、風はあまり防げないので屋外だと寒いし、ファッション的にはカジュアル寄りなので私にはあまり似合わないし、多くの意味で着用したいとは思えなかったのだ。
思い出せないが、何かのきっかけで私は考え方を改めた。どういうわけか最近のセーターはチクチクしないし、風を防げずカジュアルなセーターは部屋着であれば問題なく、そしてセーターの他にも羊毛製品はあるのだからアウターとして用いずフォーマル寄りの、カーディガンなどを着ればよい。
割り切ると、羊毛の良さが見えてくる。風が防げない、というのは裏を返せば風通しが良いということだ。身体の熱で温まった空気は羊毛製品に留まるが、ずっと留まってはおらず適度に抜けてゆく。これが上手く機能すると、熱が籠って暑すぎるようなことにならず、適温が保たれるのである。
衣類の話が長くなった。本当は羊毛の毛皮が好き過ぎてついに勤務先まで持っていって椅子の座面に敷いたら勤務時間の尻に至福が訪れたが周囲の人々にどう思われているか気になる、というような話を書こうと思っていたのだが、まあこれはこれで良しとしよう。とにかく羊毛は良いものだ。