帰途、私は神田駅で品川方面の電車を待っていた。そしていつものように、神田から品川まで並走するJR山手線と京浜東北線の内、たまたま早く来た方の電車に乗った。その日に乗ったのは京浜東北線であった。品川駅で京急本線へ乗り換え、横浜方面へと向かうのが私の帰宅ルートだ。

車内アナウンスで、湘南新宿ラインが運転を見合わせていることを知った。きっと横浜方面へと帰りたい人々が、京急本線へと来て混雑するだろう。不幸である。もう京急本線に影響が出ているかもしれない、と考えウェブサイトを確認すると、平常通り運転と出ていた。不幸中の幸いである。

品川駅に到着すると、JRと京急線との乗換改札が人で溢れていた。少し観察したのだが、人の群れは動かない。おそらくJRからの流入が多すぎて入場規制されており、彼らはじっと待っているのだ。この後ろについて待っても、一体いつ帰ることができるか分からない。不幸である。

仕方がないので、しばらく品川駅で時間を潰すことにした。つばめグリルでご飯でも食べるか、と考えながらJRの改札を出て高輪口へ向かう。すると左手に見える京急線の改札は、先ほどの混雑が噓のようにいつも通りであった。私は思い直し、改札に入って電車に乗れた。幸運である。

電車は非常に混雑しており、私は後悔した。ゆっくり夕食を取っていれば、この苦しい思いをすることは無かったのだ。不幸である。やっとの思いで帰宅すると、そこには家人が用意したパーティ料理があった。そうか、今日はクリスマスだ。早く帰ってきて良かった。幸運な夜であった。