下駄を購入した。以前から雪駄は持っていたし、一時期は草鞋も愛用していた私だが、下駄は今回が初めてである。他の履物とは一線を画すその独特の形状から、いつかは私も履いて近所を散歩したいと何となく考えていた。それがついに実現したのである。
正確に言うと、下駄にも様々な種類があるようで『右近下駄』であれば所有していた。今回購入したのは木製で、足を乗せる面が縦長の長方形、その裏から『歯』と呼ばれる横長の長方形が二つ出ている、下駄を代表する下駄(?)である『駒下駄』だ。
購入を検討する段階で知ったのだが、下駄の歯というのは前後中央からやや後ろ寄りについている。寿司屋で寿司を提供する際にしばしば使用される、似たような形状の木製の台『寿司下駄』は歯の位置が均等なので、てっきり駒下駄も同様と思い込んでいた。
履いてみると、歯の位置のおかげで歩く際に前に傾きやすく、進みやすい。それでいて立ち止まると安定する。考えてみれば人間の足首は、足の前後中央ではなく後ろ寄りについている。だから重心も後ろ寄りのはずで、それを支える駒下駄の歯も後ろ寄り。納得である。
早速、近所を散歩した。西洋靴を履いている時とは違う部分の筋肉が使われるようで歩きづらいが、不思議と不快ではない。ただ疲れるのは間違いなく、今のところは一時間ほど履いたら三日は間を開けないと体力的に厳しい。しばらくは鍛錬の日々である。