何かを洗う時、私もまた洗われているのだ

高圧洗浄機を使用して、様々なものの汚れを洗い流すゲームである『PowerWash Simulator』が、Nintendo Switch Onlineの『いっせいトライアル』対象ソフトとなった。少しだけ触ってみよう、とゲームを開始したところ、気付くと数時間が経過していた。恐ろしいゲームである。

素晴らしいのは、このゲームにはゲームらしい制限が無いことだ。例えば時間や水・電力などのリソース制限、こちらが先でこちらが後などのステージ内における攻略順の制限、敵から攻撃を受けるなどの行動制限。これらの要素が、少なくとも私がプレイした序盤には無かった。

制限の無いゲームなんて面白くなるのか、というのは杞憂である。題材である高圧洗浄がそもそも面白いからだ。しつこい汚れや細かい部分の汚れを、時間をかけてじっくりと落とし、新品同様の外見へと蘇らせる。無心に汚れを落とす贅沢な時間で、私の心も洗われるようであった。

単に水を浴びせるだけのゲームではない。汚れているものの部位一つひとつに、元の素材と汚れの種類の設定があり、落としやすさが変わる。水を拡散させると広範囲を洗えるが、水圧が下がるので場所によっては汚れが落ちない。水を集中させると洗うのに時間がかかる。ジレンマである。

実際に高圧洗浄機を使用するとなると、準備が面倒だったり近所へ配慮する必要があったり水圧が高すぎて対象物を破損させる恐れがあったりするが、ゲームであればすべて問題ない。思うさま、ただひたすらに汚れを洗い落とすことだけに集中できる、良いゲームである。

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