幸せの代償、というほど大した話でもないけど

完徹をした。一睡もしない、完全なる徹夜である。『徹夜』という熟語は夜を徹する、なのでそれだけで既に夜中じゅう一睡もしないことを指すような気もするが、とにかくその夜の私はずっと集中して物事に取り組んでおり、結果として一睡もしなかった。

何をしていたかというと、ゲームである。その日、私は『Type Help』というブラウザゲームを知り、ハマってしまったのだ。これは謎解きミステリーテキストアドベンチャーゲームで、私はおよそ6時間くらいでクリアした。読む時間より、考える時間の方が長かったように思う。

物語として提示される謎と、ゲームとして解くべき謎のバランスが絶妙で、続きが気になるから先を読みたい、どうすれば先に進めるのかと以前の文章を読み返す、ヒントを見つけ試行して正解を見つけ喜ぶ、という幸せな体験をしている内に夜が明けてしまったのだ。

外出の予定があったので、そのまま身支度をして出かけた。直前まで謎解きをしていたことと、面白いゲームをクリアしたという充実感から、頭はスッキリ爽やかで眠気も無く、徹夜明けの外出も苦にならなかった。しかし、それは午前中までの話であった。

午後、私は猛烈な眠気に襲われた。ただでさえ眠っていないのに、夜中には謎解きをして、その日の予定は頭を使う仕事であったのだから、脳が休息を求めるのは当然である。結局、午後はまったく仕事にならずに舟を漕いで過ごした。帰りの電車で寝過ごさなかったのは幸いであった。

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