掃除が好きである。こう書くと、掃除をする頻度が高くていつでも家じゅうピカピカ、と誤解されるような気がする。私の場合、頻度は低いがいざ掃除をするとなったら狭い範囲に多くの時間をかけて、家の中でその場所だけ妙にピカピカ、なのである。
我が家の台所は木目調のクッションフロア敷きである。ある日、一角に模様のようなものを見かけた。不規則な水玉模様というか、床に色の浅い部分が点在しているのである。その模様は台所のほとんどの場所には存在せず、その一角だけにあった。
観察すると、どうやら近くに置いてある椅子の足が、床とこすれてそうなったようだ。といってもクッションフロアが削れて色が浅くなったのではなく、床全体がうっすらと黒ずんでいたところを椅子の足が部分的に掃除をして元の色が出た、という状態であった。
部分的に汚れが取れたから模様のように目立つのであって、全体的に床の汚れを取り除けばその模様は消えるはずだ。私は床掃除に取り掛かった。台所なので油汚れとホコリとが混ざり合って黒ずんでいると予測し、セスキ炭酸ソーダの粉末に水を含ませ、床をこする。
果たして、床は一部分だけ綺麗になった。こするのが意外と手間で、疲れてしまったのである。いま我が家の台所の床は、不規則な水玉と、近くに縦5cm横30cmくらいの掃除跡があり、他の大部分は相変わらず黒ずんでいる。掃除前より汚れが目立つようになってしまった。