以前から、その店の前を通りかかる度に何となく気になっていた。あるビルの地下にあるレストラン街の一角、それなりに年季の入った看板には店名の前に『カレーの店』と入っている。僕はその文字列を見て「なるほど、ここはカレーの店なんだな」という文字通りの感想を抱きつつ、結局そこへは入らず他の店に入ることを何度か繰り返していた。ある日、僕は別にそこまでカレーが食べたい気分ではなかったのだが、せっかくその店の近くに来ているのだし、これだけ気になっているのだから一度は入ってみよう、と心に決め、気軽にその店に入ってみた。
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