とても便利で恐ろしい通信販売

それなりに長く生きていると、ふと「いま現在の自分を、若い頃の私が見たらどう思うだろうか?」などと考えたりする。若い頃の私は疑り深い人間で、とにかく世の中は自分にとって良い方向には進まないと思っていたし、誰も彼もが自分の事を騙そうとしていると思っていた。そんな過去を持つ私がいま現在、よく通信販売を利用するのである。若い頃の私に言わせれば、通信販売など詐欺の温床であり、現物を見ないまま料金を支払うなどは愚か者のすることだった。将来、当の自分がその愚か者になってしまうと聞いても、当時の私は絶対に信じなかっただろう。

特にここ最近、社会情勢的に外出をして買い物をするということがあまり気軽にできなくなっている。日々の生活に必要なものを買うことですら、少人数で短時間で最低限で、と要請されるほどだ。生活必需品ではない類の買い物を、店頭で商品を見比べながらじっくり時間をかけて、などとやっていたら石を投げられてしまいかねない。外で買い物を楽しむ、という行為が制限されてもう一年以上になる。ならば、というので内で買い物を楽しむ、すなわち通信販売へと興味が湧くのも当然と言えよう。通信販売なら、商品選びにいくら時間をかけても誰の目を気にする必要もない。自分一人でいくらでも悩めば良いのである。

元々が通信販売に疑いを持っていた私であるから、利用するようになったとはいっても販売元は選んでいる。具体的にはヨドバシ・ドット・コムを利用することがほとんどであり、何か欲しいものがあったらまず当該サイトで取り扱いがあるかどうかを確認するところから始めるほどだ。このサイトはヨドバシカメラという家電量販店の通信販売サイトでありながら、家電に留まらず様々なものを取り扱う。私は主に食料品――水や乾麺、コーヒー豆や小麦粉など――を購入している。

定期的に利用していることが、その他の商品を購入する際のハードルを下げる効果があるのだろう。先日、ふと興味が湧いたので米と一緒にマイクスタンドを購入した。もし以前通り食料品をスーパーマーケットなどで購入していたら、こんなに気軽にマイクスタンドを購入することはなかったに違いない。しかし、どうせ米を届けてもらうついでなのだから、という言い訳を自分自身に言い聞かせ、ちょっと面白い、くらいの動機で日常生活にはいっさい役に立たない物品を購入できてしまうのだ。これが通信販売の恐ろしいところであり、また楽しいところでもあるのである。

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