伝わりづらい話を、させてください。伝えるのに多くの事前説明が必要で、多くの状況説明が必要で、その割に出来事そのものはとても地味で、私がその時に思った事は広く共感をもらえるような気もしない。でも、そんな話を、させてください。私にとっては、とても嬉しかった出来事だから。

私は現在、かなり多くの日に在宅勤務をしています。極端な表現をすれば、朝になったら自宅のパソコンへ向かい、勤務が終われば布団へ入る、そんな生活です。ビデオ会議なども無いので、一日24時間を、パジャマのままで過ごすことが無理なく可能だったりします。とはいえ、最近の私はパジャマを着ません。

健康法の一環で、私は寝る際に下着一枚のみを身に着けます。そして今は冬なので、起きてすぐに部屋着を着ます。暖房費を節約する為、部屋着とはいえ厚着です。いま数えたら、アンダーシャツにシャツワンピース、さらにセーターにルームジャケットと、4枚でした。どれも柔らかく、枚数の割にはゆったりしています。

前日の夜、私はやる気が無く、その厚着を一度にまるごと脱ぎ脇へ放り投げて、そのまま布団へ入り、眠りました。そして朝、目覚めて厚着の塊を見て、ふと思ったのです。脱いだ時と同じように、これを一度にまるごと4枚、着られないだろうか？　と。寝惚けた考えは、すぐ実行に移されました。

成功しました。前日の通りそっくりそのまま、一度に部屋着を着る事が出来たのです！　これまでも何度か思い立ち挑戦しましたが、結局は厚着を分解して1枚ずつ着ていました。それが今回は、すんなり。この達成感は、深く染み入るものでした。……これが、伝わりづらい話のすべてです。いかがだったでしょうか。