数年前から、足の親指の腹、すなわち歩く際に地面に接する部分の皮膚が、部分的に硬くなる現象が起こるようになった。ひどい時にはその部分が割れるというか裂けるというか、とにかく血が出るほどに深く傷ついてしまい、痛みで歩くのがツラくなったりする。
季節的には毎回、冬である。そして冬の寒さが深まるにつれて硬い部分が広がってゆき、春から夏になると硬い部分は消える。寒い時期に硬くなるだなんて、まるで我が家の台所が寒すぎて固形化するオリーブオイルのようである。ちなみにオリーブオイルの凝固点は水より少し高いらしい。
現在、私の右足親指の腹は広範囲が硬くなっている。今年は範囲が広い代わりに表面的で、割れたり裂けたり血が出たりはしていない。しかしそれがかえって私の興味を引いてしまい、結果として血が出て痛んで歩くのがツラい。一体それはどういうことなのか、説明したい。
私には元々、自分の皮膚が部分的に硬くなるとそこを手でいじる癖がある。例えば指先にできるササクレは格好の的で、できるとすぐにいじり始めるし、いじり始めるとすぐにそのササクレを手で千切り取ってしまう。上手くいかず血を出すことも多いが、この癖は直っていない。
足の親指の腹であってもそれは同じだ。裸足で布団に入っている時などに気になり始め、いじり始め、千切り始める。そして気付くと敷布団のシーツに血のシミができている。今は気を付けて、せいぜい撫でるくらいに留めているが、いじることそのものは止められそうにない。