人間は誰しも幸せになる権利を持っている、と私は考えている。しかしこれを、人間は誰しも幸せになることが可能である、と書いてしまうと、少しニュアンスが違ってくる。権利を持っている、ということは必ずしも、権利の行使が可能である、とは言い切れないと考えるからだ。例えば、ある映画のチケットがあなたの手元にあるとしよう。このチケットを映画館へ持って行けば映画が見られるから、これはあなたが映画を見る権利を持っている、ということに等しい。だが、チケットそのものをいくら眺めてみても、あなたの目に映画が映ることはない。映画を見る権利を行使するためには、映画館へ行くという前提条件を満たす必要があるのだ。
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